債務整理と資産隠し〜財産隠しをするとどうなる?知っておきたい6つのポイント

債務整理と財産隠しの危険性

債務整理をする人は、「生活の不安」と闘ってきた人が少なくありません。

 

自己破産するまで追い詰められたケースでは、「明日の生活はどうなるのだろう」と常に怯えていたという方もいるのではないでしょうか。

 

また、自己破産すれば、一定の財産の拠出が求められます。

 

これからの生活のために、「残せる財産は手元に残したい」と考えてしまうことは、当然かもしれません。

 

しかし、これからお話するように、自己破産・個人再生を利用する際に、「財産隠し」をすると、大きなペナルティが待っています。

 

誤った対応をしたために、債務整理それ自体が台無しになる可能性だってあります。

 

今回は債務整理と資産隠しについて解説をしていきます。

 

また、『状況がマズいとは理解しながらも1年以上にわたって、借金問題を放置している。』

 

『自転車操業状態が続いており、常に借りては返すといった状態が続いている。』

 

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している危険な状態です。

 

1人で悩むのではなく手遅れになる前に、今すぐ法律事務所に相談を行ってください。

 

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それでは解説をしていきます。

最近起きた有名な事件

格安旅行会社の「てるみくらぶ」が経営破綻のために、破産手続きを申し立てたことは、報道等で知っている方も多いと思います。

 

「てるみくらぶ」の破綻をめぐっては、同社の代表取締役社長も自己破産を申し立てていましたが、財産隠しが発覚し、逮捕される事態となりました。

 

同社社長の逮捕容疑は、役員報酬約1,000万円を隠蔽したことによる破産法違反(詐欺破産、虚偽説明)です。知らない方も少なくないかもしれませんが、「財産を隠して破産する」ことは犯罪となります。

 

財産隠しに関係する破産犯罪

下の表は、「財産を隠して」自己破産や個人再生した際に、問題となる犯罪(罰則)についてまとめたものです。

 

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法的な債務整理をすれば、債権者は、「満足のいく返済を受けられない」ことが法律上確定します。

 

それ故に、債務整理を申し立てる債務者には、誠実な対応が求められます。

 

積極的な財産隠しは当然として、説明・報告の拒絶や虚偽説明・報告にも大きなペナルティが科されます。

 

詐欺破産は実刑の可能性だってある

上で紹介した「てるみくらぶ」社長のケースでは、「詐欺破産罪」と「説明及び検査の拒絶等の罪」の容疑がかけられています。

 

起訴され有罪判決を受ければ、懲役刑の可能性があります。

 

このケースの場合は、2つの犯罪で起訴されたとしても、犯罪事実は、1,000万円の役員報酬を隠匿したという1つの事実だけです。

 

したがって、量刑の重い詐欺破産の量刑が適用されます。

 

「1つの犯罪事実が複数の罪に該当するケース(法律用語では観念的競合といいます)」では、最も重い罪に基づいて量刑が決められます。

 

たとえば、「詐欺破産で5年+虚偽説明で1年=6年」というように、足し算されるわけではありません。

 

詐欺破産は、「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(またはこれを併科)」となります。

 

3年を超える懲役刑となれば、執行猶予が認められません。

 

なお、同社長は他の罪でも逮捕されていますが、この記事では、説明の便宜上、記事作成時に明らかになっている破産犯罪だけを抜き出して説明しています。

 

そのため、実際の裁判結果が上記と異なる可能性があります。

 

いずれにしても借金問題は時間との勝負です。

 

1人で抱え込んでいても状況が好転することは絶対になく、事態を深刻化していく一方です。

 

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罰金は債務整理しても1円も減免されない

罰金は、自己破産や個人再生で減免されることはありません。

 

また、罰金は原則として一括払いです(ただし、下で別に触れるように、分割払いの相談に応じてくれるケースがないわけでもないようです)。

 

自己破産した場合には、99万円を超える現金は、すべて破産財団に組み込まれてしまいます。

 

罰金刑を科されても自力では支払えないことが多いでしょう。

 

「給与差押え」や「労役場留置」となることも

罰金が支払えないときには、強制執行されます。お勤めがあれば、「給与の差押え」が最も一般的です。

 

給与が差し押さえられるときには、勤め先に「差押え通知」が届くので、勤務先にも必ず知られてしまいます。

 

強制執行できる財産がないときには、「労役場留置」となります。

 

労役場留置とは、罰金を支払う代わりに、刑務所内に留置して労務を提供させることをいいます。

 

実際に留置される日数は裁判で決められますが、1日あたり5,000円に換算するのが一般的です。

 

労役場留置となった場合でも残りの罰金を支払えば解放されます。なお、留置の最長期間は2年です。

 

しかし、刑務所の事情(収用人員に余裕がない)や、労役場留置は国庫としては実質赤字になることから、労役場留置は避けたいという事情があります。

 

そのため、この段階までくると検察から罰金の分割払いを提案されることもあるようです。

 

債務整理でも手続き上の不利益を受ける

財産隠しをして法的債務整理を申し立てると、刑事罰に問われるだけでなく、債務整理手続きの中でも大きなペナルティが科されます。

 

自己破産では免責不許可の可能性がある

自己破産しても免責を得られなければ、借金の返済義務はなくなりません。

 

自己破産はあくまでも「清算」の手続きに過ぎないからです。

 

自己破産の際に「財産隠し」が発覚すると、免責不許可となる可能性があります。

 

「財産隠し」は破産法252条1項1号が定める「免責不許可事由」に該当するためです。

 

法律雑誌に裁判官が寄稿したレポートによれば、2000万円以上の価値のある高級腕時計の破産管財人に秘匿した上に、その売却代金を隠匿した事案において、免責不許可とされたものがあります(平井直也「東京地裁破産再生部における近時の免責に関する判断の実情(続)」判例タイムズ1403号)。

 

なお、この事案では、裁判所が許可しなかったにもかかわらず勝手に海外渡航したり、管財人への資料提出を拒絶した事実もあるようです。
免責不許可事由がある場合でも裁判所の裁量で免責される場合があります(破産法252条2項)。

 

しかし、この事案では、破産者が破産手続きへの非協力的だったことも免責不許可となった大きな理由であったと思われます。

 

このような事態にならない為には、専門家と事前によく話し合ったうえで最善の策を講じていくことが重要なのは言うまでもありません。

 

まずは1日でも早い段階で専門家と話しあうのが鉄則です。

 

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個人再生では、再生計画不認可・認可取消しの可能性がある

個人再生は、自己破産のように「財産を清算する」必要のない手続きです。

 

しかし、個人再生では、「清算価値保障の原則」があるため、申立人債務者の資産状況を正しく把握することがとても重要です。

 

「清算価値」というのは、簡単にいえば、個人再生のとき自己破産していれば、債権者に配当された金額のことです。

 

個人再生では、借金が強制的に減額されます。いわば、一部免責です。

 

しかも3年の分割返済が原則なので、債権者の負担はかなり大きなものです。

 

そこで、「自己破産よりも多く回収できる」ことを手続きとして保証することがとても重要になります。

 

個人再生のときに、「財産隠し」が行われると、清算価値を正しく算出することができません。

 

そのため個人再生で借金を減額する前提が崩れてしまいます。

 

そのため、「財産隠し」が発覚したときには、「再生計画の不認可」や「認可された再生計画の取消し」という大きなペナルティが待っています。

 

不認可や取消しとなれば、それまでの個人再生の手続きのすべてが無駄になります。

 

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

 

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

 

「うっかり忘れていた」ならすぐに対応すれば間に合う

故意に財産隠しをしていなくても、「うっかり申告ミス」というケースもあるかもしれません。

 

もしくは、「これは私の財産ではないと思っていた」、「自由財産に該当すると思っていた」という認識違いのケースもあるでしょう。

 

いずれのケースでも、「財産の申告漏れ」があった場合には、速やかに対処する必要があります。

 

「悪意のない申告漏れ」であれば、その後の対応を間違えなければ、免責不許可となることはあまりないと思います。

 

申告を忘れていたけど、バレないだろう」、「何とかウソとついてごまかし通そう」ということは、通用しません。

 

まとめ

自己破産や個人再生の申し立て準備は、細心の注意をはらって行う必要があります。

 

申告漏れがないように、「この財産は大丈夫」と独断で対応を決めずに、すべての財産の取扱いについて弁護士と相談しておくべきです。

 

自分の財産について最もよく知っているのは自分自身です。

 

代理人弁護士にとっても「そのような財産があるとは想定していなかった」というケースがあるかもしれません。

 

いずれにしても借金問題は時間との勝負です。

 

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