建築士と債務整理〜建築士が自己破産や任意整理をする4つの方法と注意点

建築士の債務整理を成功させる5つのポイント

今回は、建築士が債務整理する際に注意すべき8つのポイントについて解説します。

 

国家資格を保有している場合には、債務整理と資格制限との関係が気になります。

 

資格に制限が生じると生活基盤を失う可能性があるからです。

 

弁護士や司法書士、宅地建物取引士などの資格と異なり、建築士資格には、自己破産による資格制限はありません。

 

しかし、自分で建築事務所を開設している方が自己破産すると建築事務所の登録取消となる可能性があり注意が必要です。

 

建築士が借金問題は、任意整理、個人再生で解決できる早い段階で解決したいものです。

 

また、『今の収入では返済が厳しいことは分かっているけど、放置してしまっている。』

 

『1年以上借金の残高が減っていない、もしくは増えている。』

 

このような状態の方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

 

どの法律事務所に相談をしたら良いか分からない方は匿名で利用できる、無料シミュレーションサイトの利用が便利です。

 

それでは解説をしていきます。

 

債務整理しても建築士の資格は失わない

建築士(一級建築士、二級建築士、木造建築士)には、次の欠格事由があります(建築士法7条)。

 

参考⇒建築士法 - e-Gov

 

未成年者
成年被後見人又は被保佐人
禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
建築士法に違反、または建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終了または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
建築士法9条第1項4号または10条1項の規定により免許を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者
10条1項の規定による業務の停止の処分を受け、その停止の期間中に9条1項1号の規定によりその免許が取り消され、まだその期間が経過しない者

 

以上の欠格事由に、「破産者(で復権を得ない者)」は含まれていません。

 

したがって、建築士の資格は、自己破産しても制限を受けることはありません。

 

また、自己破産して免責を受ける前であっても建築士試験を受験することも問題ありません。

 

建築士事務所開設には注意が必要

自己破産をはじめとする債務整理を行っても建築士の資格は資格取消や業務停止を受けることはありません。

 

しかし、「建築士事務所開設者」が自己破産した場合や、「自己破産して免責を得ていない人」が建築士事務所を開設するときには注意が必要です。

 

建築士事務所の開設には、都道府県知事の登録が必要です(建築士法23条)。しかし、「破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者」が開設者であるときには、その登録は拒否されます(建築士法23条の4)。

 

したがって、自己破産した人が建築士事務所を開設するためには、復権を待つ必要があります。

 

自己破産後の復権は、通常は免責の確定によってなされます。

 

さらに、すでに建築士事務所を登録している開設者が自己破産すると、建築士事務所の登録が取り消されることになります(建築士法26条)。

 

つまり、建築士は自己破産しても「資格は失わない」が「建築士事務所開設者にはなれない」ということになります。

 

個人で事業している建築士が自己破産するときには注意が必要でしょう。

 

関連資格にも注意

建築士として働く人には、関連する他の資格も保有している人が少なくありません。

 

建築士の資格に影響がなくても、他の資格に影響が出ることで、業務に支障を来すこともありえます。

 

建築士が業務に関連して保有することの多い資格のうち、自己破産によって資格制限が生じるのは次の資格です。

 

宅地建物取引士、土地家屋調査士、司法書士
行政書士、不動産鑑定士、測量業者、一般建設業、特定建設業

 

法人経営をしている建築士は注意が必要

建築事務所を株式会社などの法人として経営している場合にも注意が必要です。

 

株式会社の取締役、持分会社(合同会社など)の社員は、自己破産すると退任する必要があります。

 

法人役員が自己破産した際の重要なポイントは下記のとおりです。

 

退任後免責を受ける前に再任されることは可能(ただし、株主総会などの再任手続きを経る必要がある)
いわゆる「1人会社」の代表者が自己破産すると法人の解散事由となる
持分会社であればあらかじめ定款に定めておくことで、自己破産による法定退社を回避することが可能

 

建築士の為の自己破産以外の債務整理の方法

建築事務所の登録取消や関連資格の制限などは、「自己破産した場合」にのみ生じる問題です。

 

債務整理には、自己破産以外にも「任意整理」、「特定調停」、「個人再生」という方法があります。

 

自己破産以外の3つの方法で債務整理をしても、資格制限などのデメリットが生じることはありません。

 

任意整理ならデメリットは最小限に食い止められる

任意整理は、「借金を返済しやすくするための条件変更」を債権者に個別にお願いする債務整理で、最も多く利用されている方法です。

 

具体的には、次のような条件の変更を債権者にお願いします。

 

将来の利息の免除
返済期間の見直し
一括返済による借金の減額

 

一般的な任意整理では、利息の免除と返済期間の見直しのお願いを債権者にします。

 

消費者金融や銀行カードローンのような無担保融資には高い利息が付されています。

 

そのため、借金の残額が多いときには、毎回の返済額の半分以上が利息の支払いに充てられています。

 

任意整理によって将来の利息負担を免除してもらえれば、返済の負担はかなり軽くなります。

 

また、利息がなくなれば、返済期間が長いほど、返済もしやすくなります。

 

さらに、任意整理では、債務整理することが難しい借金を除外することもできます。

 

「住宅ローン」や、「事務所の滞納家賃」、「取引先への未払い金」、「メインバンクからの借金」は、生活や事業継続のためにそのままにしておきたいこともあるでしょう。

 

任意整理で、消費者金融やクレジットカードの支払いを整理できれば、住宅ローンなどは「これまで通り返済し続けられる」こともあります。

 

また、任意整理を弁護士や司法書士に依頼すれば、すべての交渉は弁護士・司法書士が引き受けてくれます。

 

債務者であるあなたは、弁護士・司法書士からの報告を待つだけで借金問題を解決できます。

 

そのため、家族にも知られずに任意整理ができる場合も少なくありません。

 

任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。

 

参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点

 

多額な借金を抱えたときには、個人再生を利用

任意整理はでは、一括弁済できる場合を除いては、借金が減額されることはありません。

 

支払いの負担は減りますが、あくまでも「利息の免除」と「返済期間の延長」によるものです。

 

そのため、借金が多額過ぎるときには、任意整理では解決できない場合もあります。

 

借金が多額なときでも、個人再生を利用すれば、自己破産せずに借金問題を解決することができます。

 

個人再生が認められると、借金の一部を免除してもらうことができます。

 

個人再生での最低弁済基準額は、下の表のとおりです。

 

なお、住宅ローンのように、担保の設定された借金は、下記の金額には含まれません。

 

借金の額 最低弁済基準額
100万円未満 全額
100万円〜500万円未満 100万円
500万円〜1,500万円未満 借金の1/5の額(100万円〜300万円)
1,500万円〜3,000万円未満 300万円
3,000万円〜5,000万円 借金の1/10の額(300万円〜500万円)

 

ただし、保有している資産の評価額(清算価値)が上記の最低弁済基準額を上回るときには、その資産の評価額を返済しなければならないことに注意が必要です(清算価値保障の原則)。

 

清算価値の算出のベースになるのは、自己破産した際に差し押さえられる財産です。

 

したがって、すべての財産を基準に清算価値が決まるというわけではありません。

 

個人再生した際の借金減額の見通しについては、弁護士に相談の上確認してください。

 

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

 

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

 

5,000万円を超える借金がある場合

個人事業の建築士の場合には、負債額が5,000万円を超える場合もあるかもしれません。

 

負債額が5,000万円を超えるときには、個人再生は利用できないので注意が必要です。

 

しかし、5,000万円を超える借金を抱えたときでも、「自己破産しかない」と諦める必要はありません。

 

負債が5.000万円を超えたときには、民事再生手続きによって、借金を解決できる場合があります。

 

民事再生は、一般的には法人向けの債務整理手続きですが、個人でも利用することができます。

 

法人の債務整理については下記ページで解説をしています。

 

参考⇒法人の債務整理?会社が自己破産や個人再生をする流れと費用

 

自己破産を回避するためには「債権者の同意」が必要

自己破産を回避するためには、任意整理・個人再生いずれの方法であっても「債権者の同意」が必要です。

 

任意整理は「交渉に応じるか否か」も債権者の全くの自由意思に委ねられます。

 

個人再生の場合でも、裁判所に再生計画(借金の一部免除)を認めてもらうためには、「債権者の反対(頭数・債権額共に1/2以上の反対)がない」ことが条件となっています。

 

さらに、民事再生の場合には、債権者の積極的同意(頭数・債権額共に1/2以上の同意)が必要となるので、条件が厳しくなります。

 

たとえば、借りて間もない借金(ほとんど返済していない借金)や、債権者の心証の悪い借金(延滞の程度の悪い借金)があれば、任意整理や個人再生に失敗することもあり得ます。

 

自転車操業に陥ると、「返済できてない借金」が膨らみやすくなります。

 

事業者の場合には、運転資金などの工面で、無理な自転車操業に陥りがちです。

 

借金問題は、できるだけ早い時期に、深刻化する前に債務整理で解決することがベストです。

 

建築士の債務整理まとめ

建築士は自己破産しても資格を失うことはありません。

 

しかし、事務所開設者になれないといった不都合が生じることから、できれば自己破産は回避したいものです。

 

自己破産を回避するためには、早期に債務整理に着手することに限ります。

 

借金問題は対応が遅くなるほど、深刻化します。また、深刻化した借金は、任意整理・個人再生で解決できない場合もあります。

 

借金の返済が苦しいと感じたときには、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。

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