借金を滞納したら訴えられた!手続きの流れと正しい対応

借金滞納で訴えられた時の対策

今回は、借金を延滞して訴訟を起こされたときの手続きの流れと正しい対応方法について解説します。

 

借金を返済せずに長期間放置すると債権者から訴訟を起こされる場合があります。

 

自分宛に訴訟が起こされたことは、裁判所から訴状が送達されることで初めて知る場合が多いでしょう。

 

借金を延滞して訴訟を起こされた人には、そのまま無視してしまう人が少なくありません。

 

「裁判を起こされてもお金がないからどうせ返済できない」

 

「返せない借金の裁判のために会社を休んで裁判所にいけるはずがない」

 

「そもそも裁判所が遠くていけない」

 

訴状を無視してしまう理由はさまざまですが、送達された訴状を無視することは絶対にいけません。

 

借金を返せない場合であったとしても、訴訟に応じれば分割払いの和解ができる可能性も残されているからです。

 

平日の昼間に会社を休んでまで裁判所にいけない、裁判所が遠いので出頭するのは難しいという場合にも対処法があります。

 

また、結論からお伝えすると借金の金額も現実的に返済が可能ではない場合、専門家に今すぐ相談をすることが非常に重要です。

 

借金問題は時間との勝負。後回しにすればするだけ状況は悪化するだけです。

 

訴訟まで発展している場合、既に手遅れになる一歩手前と言っても過言ではないでしょう。

 

手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。

 

法律事務所は匿名で利用できる、無料シミュレーションサイトの利用が便利です。

 

それでは解説をしていきます。

 

訴訟手続きの流れ

 

bunnounonagare

 

上の図は借金を延滞して訴訟を起こされたときの大まかな流れをまとめたものです。

 

訴訟は、原告(債権者)が訴状を提出して行う「訴えの提起」によって手続きがはじまり、被告(債務者)への「訴状送達」、「口頭弁論期日」を経て、「判決言渡し」や「和解の成立」によって終了します。

 

債権者が「訴えを提起」することの意味

債権者が訴えを提起するときには、さまざまな狙いがあります。

 

その主なものを挙げれば下のとおりになります。

 

債務者の財産を差し押さえるために必要な「債務名義」を得るため
回収が難しい債権を欠損処理するため
「消滅時効」の完成を阻止するため(時効を中断させるため)

 

言い換えれば、訴訟を起こされると「借金の消滅時効は中断」し、敗訴すれば、いつでも強制執行されるリスクを背負うことになります。

 

訴状が送達されたときに、やってはいけないこと

訴訟手続きは、正確には訴えが提起されただけでは開始されません。

 

訴訟係属(裁判所の下で訴訟手続きが開始される状態になること)の効果が発生するためには、被告に訴状が送達されていなければなりません。

 

時効の中断の効力も、正確には、被告に訴状が送達されたときに「訴えて気の時にさかのぼって」発生します。

 

「それならば訴状を受け取らなければ良いではないか」と考える人もいるかもしれませんが、そう甘く事が運ぶはずがありません。

 

居留守などで「訴状を受け取らない」悪あがきは無駄

訴状の送達は、「特別送達」とよばれる方法で行われます。

 

とはいえ、実際には、書留郵便を受け取る場合と同じようなものだと理解しておけばよいでしょう。

 

そこで、居留守などを用いて訴状の受け取りを拒否する人もいないではありません。

 

特別送達は、被告本人などへの直接交付が原則だからです。

 

しかし、通常の方法で特別送達ができないときには、「差置送達」や「付郵便送達」といった直接交付せずに送達する方法が実施されます。
したがって、居留守や受け取り拒否は、多少の時間稼ぎにはなるかもしれませんが、意味がありません。

 

裁判所の心証を害する可能性があることを考えれば、マイナスとなることの方が多いでしょう。

 

訴状を受け取った後に無視することもいけない

訴訟の内容が「借金の返済」を求めるものであることがわかりきっている場合には、受け取った訴状を読みもせずに無視してしまう人も少なくないようです。

 

しかし、「訴状を無視をする」のは、最もいけない対応です。

 

訴状が送達されたときには、「口頭弁論期日の呼出状」と答弁書の作成・提出についての裁判所からの案内が同封されています。

 

裁判所によっては、答弁書のひな形も同封してくれることもあるでしょう。

 

口頭弁論期日は「平日の昼間」に開催されます。

 

『どうせ負けることがわかっている裁判」のために会社を休むことはできない』、

 

借金を返していないのは事実だから答弁書を書くのは無駄」と決めつけて、何の反応もせずに、口頭弁論を欠席してしまう人は実際にも少なくありません。

 

しかし、訴状を無視して、何もしないまま口頭弁論期日を欠席することは、「和解の可能性」を失ってしまうので、実はもったいないことなのです。

 

被告が答弁書も提出せずに口頭弁論期日を欠席したときには、裁判所は、「原告が訴状で請求した内容をそのまま認める判決」を言い渡さなければなりません。

 

少し極端なことをいえば、原告からの請求が「真実と異なる内容」であったとしても、そのまま判決を言い渡さなければなりません。

 

民事訴訟のルールでは、被告からのレスポンスが全くないときには、裁判所は原告の言い分が真実かどうかを調査・判断してはいけないことになっています(処分権主義・弁論主義)。

 

したがって、最低でも、訴状に記載されている内容が事実であるかどうかはきちんと確認すべきです。

 

「すでに返済している借金」や、「時効で消滅している借金」を請求されている可能性も否定できないからです。

 

「答弁書」さえ出せば1回目の口頭弁論期日は欠席できる

1回目の口頭弁論期日は、被告の都合をまったく考慮せずに設定されています。

 

したがって、指定された期日がどうしても都合がつかないということも当然にあり得ます。

 

そこで、第1回目の口頭弁論期日は、「答弁書を提出すれば、その内容を法廷で陳述した」という取扱いにしてもらえるのです。

 

□訴えを起こされたときの正しい対応
訴えを起こされたときには、正しく対応する必要があります。

 

訴状を受け取ってもそのまま放置すれば、即座に敗訴判決が言い渡されてしまいます。

 

訴訟に応答しなくても、判決書は送達されてきますが、2週間以内に控訴しなければ、判決は確定してしまいます。

 

借金の返済を命じる判決が確定すると、債権者が請求する金額(+支払い日までの法定利息)を一括で支払わなければなりません。

 

支払いに応じなければ、債権者は強制執行(給料などの差押え)の手続きを申し立てます。

 

給料などの差押えを回避するためには、提起された裁判に正しく応じる(応訴する)ことが重要です。

 

「答弁書」の正しい書き方

借金の返済を求める裁判の多くは簡易裁判所に提起されます。簡易裁判所の手続きの場合には、訴状と一緒に答弁書のひな形が送付されてくるので、ひな形の質問事項に答える形で記入すれば、答弁書を作成することができます。

 

ただし、「請求の趣旨」に対する答弁には注意が必要です。請求の趣旨に対する答弁を誤って記載すると、「原告の請求を認めた」ことになってしまい、そのまま判決が言い渡される可能性があるからです。

 

請求の趣旨に対する答弁は、

 

原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

 

と記載するようにしましょう。借金をして返していないことが事実であったとしても、「すぐに原告勝訴の判決が言い渡されることを希望しない」ときには、このように書くのが実務の上での決まり事です。

 

下は、「とりあえず時間稼ぎをしたい」場合の答弁書の作成例です。

 

「調査して後に答える」としか回答していないのですが、法律知識のない人が中途半端に記載すれば原告の主張を認めたことになりかねないので注意が必要です。

 

「とりあえずの答弁書」としては、請求の趣旨に対する答弁として「明確に争う」ことを示していれば必要にして十分です。

 

bunnounonagare

 

なお、債権者と和解したいときには、「第3 被告の主張」の部分で、「現在の収入状況、弁済可能な毎月の金額、遅延損害金は免除してもらいたいこと」を記載しておくと良いでしょう。

 

また、訴えられた裁判が「少額裁判」であるときには、分割払いを命じる判決を求めることも可能です。

 

その際にも、実際に支払うことのできる返済額を答弁書にあらかじめ記載しておくとよいでしょう。

 

出頭できる裁判所かどうかを確認する

訴訟は、「被告の住所地を管轄する裁判所」に提起するのが原則です。

 

しかし、借金の返済を求める訴訟の場合には、東京地方(簡易)裁判所のように、原告にとって都合の良い裁判所に訴えが提起されることも少なくありません。

 

借金をする契約の際に、裁判となった際の管轄裁判所をあらかじめ定めているからです(合意管轄)。

 

実は、お金を借りる段階から訴訟になると不利になるような契約になっているのです。

 

関東以外の人が東京地裁(簡裁)での訴訟に出席するのは実際には不可能といえるでしょう。

 

この場合には、裁判所に「移送の申立て」をすることで、自分の住まいから近い裁判所に事件を移してもらえることがあります。

 

当事者が契約で管轄裁判所を定めている場合であっても、債権者である金融機関は、全国各地に支店がある場合が多く事件を他の裁判所に移送しても大きな不都合が生じない場合が多いからです。

 

移送申立て書の書き方は、下記のウェブサイト(松江地方裁判所が公表している記載例)を参考にしてください。

 

移送申立書の記載例(松江地方裁判所)

 

口頭弁論期日での対応

借金返済の求める裁判を起こされたときには、「一括で支払える財産」がない限り、「和解による解決」を求めて対応するほかありません。

 

「借りたお金を返していないこと」に間違えがなければ、「消滅時効」が完成していない限り、「請求棄却判決」(原告敗訴判決)が下されることないからです。

 

実際の裁判では「お金がないから返せない」ことを主張する債務者も少なくありません。

 

しかし、このような反論は「手元不如意(てもとふにょい)の抗弁」といって、法律的には全く意味のない反論です。

 

分割払いの意思があるときには、裁判所に具体的に伝える

口頭弁論期日に出席したときには、裁判官から必ず「和解(分割弁済)の意思」があるかどうかを確認されます。

 

判決書を作成することは手間の掛かる作業なので、ほとんどの裁判官は「できれば和解で解決したい」と考えています。

 

言い換えれば、訴えを起こされたことは和解できるチャンスともいえます。

 

和解の意思があるときには、口頭弁論期日は和解期日へと移行します。

 

簡裁の場合には、司法委員という裁判官を補佐する民間人(弁護士や学識経験者)が債権者との間に入って、和解をあっせんしてくれます。

 

和解の意思があるときには、できるだけ具体的な弁済条件を提示できるように準備しておくとよいでしょう。

 

なお、和解を行うためには、裁判所に出向く必要があります。裁判所が遠くて出頭が難しいときには、「移送の申立て」をするなどの対応も必要です。

 

「移送もできない」、「出頭もできない」が和解したい場合

移送の申立てが認められなかったケースでは、原告が訴えを提起した裁判所に出頭するほかありません。

 

また、移送が認められたとしても平日の昼間に裁判所に出向くことは難しいということもあるでしょう。

 

この場合には、「和解に代わる決定」を利用することで、裁判所に出向かずに分割払いを認めてもらうことが可能です。

 

ただし、裁判所に「和解に代わる決定」をしてもらうためには、口頭弁論の前に、債権者との間で分割払いの合意ができていなければなりません。

 

したがって、訴状が送達された後に、原告(債権者)に直接連絡をして、分割払いの交渉を行う必要があります。

 

なお、和解に代わる決定は、「簡易裁判所に訴えが提起された場合のみ」に利用することができます。

 

借金の額が140万円を超えるときには、簡易裁判所は利用できず地方裁判所での裁判となるので注意が必要です。

 

自分で対応できないときは、弁護士・司法書士に相談しましょう

裁判を起こされたからといって諦める必要はありません。正しく応訴すれば、和解で分割払いを認めてもらえる可能性があります。

 

債権者としても、すでに差押え可能な財産に目処がついていないときには、判決をもらったとしても確実に回収できる見込みがないので、和解に応じるメリットがあります。

 

訴訟で正しく対応するためには、答弁書を正しく書き、口頭弁論で正しく陳述し、具体的な返済計画を伝える必要があります。

 

自分でやりきる自身がないときには、できるだけ早いうちに弁護士に相談しましょう。「裁判所の助力があれば和解交渉は自分でできる」というのであれば、司法書士に答弁書を書いてもらうだけでも十分な場合もあるでしょう。

 

「借金の返済を求める訴えを起こされた場合」のまとめ

訴訟を起こされても、分割で返済できる可能性は残されています。

 

しかし、正しく応訴するためには、それなりの手間と時間がかかります。

 

また、最初から「強制執行目当て」で訴訟を提起してきた債権者が相手のときには、素人の交渉では和解が難しい場合もあるでしょう。

 

なお、被告事件を弁護士・司法書士に依頼すると、通常の債務整理(任意整理)よりも割り増しの着手金を要求されることも少なくありません。

 

借金の返済に行き詰まったときには、債権者から訴訟を起こされる前に、債務整理で解決することが最善といえます。

 

借金問題は早期対応がとても大切です。

 

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