債務整理とペアローン~自己破産や個人再生をする前の9つの注意点

債務整理とペアローン~自己破産や個人再生をする前の9つの注意点

債務整理とペアローン~自己破産や個人再生をする時に注意したいペアローン9つの事

近年では、結婚しても共働きを続ける夫婦が増えています。

 

夫婦揃って一定以上の収入があれば、住宅ローンをペアで組んでマイホームを買うことができます。

 

また二世帯住宅を親子のペアローンで購入する方も少なくありません。

 

ペアローンを利用すれば、夫(妻)単独でのローンよりも多くの融資を受けられるため、希望する良い物件を購入できます。

 

ペアローンを抱えた人の債務整理は、非常に難しくなります。

 

個人再生は「マイホームを残すための債務整理」としてよく知られています。

 

しかし、ペアローンの場合には、マイホームを残せない可能性がでてきます。

 

この記事では、ペアローンを抱えて個人再生・自己破産する際に知っておきたいポイントについて説明します。

 

一般の方には対応の難しい問題が多く生じるので、早めに、弁護士に相談するようにしましょう。

 

また、『借金の完済が難しい事は理解しつも、1年以上借金を放置している。』

 

『給料が出ても、返済や支払いをすると生活が厳しく、カードでしのいだり月末になるとお金をまた借りてしまう。』

 

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している危険な状態です。

 

1人で悩み続けて手遅れになる前に、今すぐに法律事務所に相談を行ってください。

 

どの法律事務所に相談をして良いか分からない方は、匿名で利用できる無料シミュレーションサイトの利用が便利です。

 

それでは解説をしていきます。

 

ペアローンがあると債務整理が難しいのはなぜか?

「ペアローン」は、夫婦がそれぞれ別に住宅ローンを組んでマイホームを購入する方法です。

 

似たような仕組みには、「収入合算」で住宅ローンを組む場合があります。

 

しかし、ペアローンと収入合算は、法律上はまったく異なる借入です。

 

「収入合算」は、あくまでも「住宅ローンは1つ」です。

 

1つの住宅ローンを「連帯債務」、「連帯保証」のいずれかによって、夫婦が共同で責任を負う仕組みです。

 

これに対して、「ペアローン」は、「住宅ローンが2つ」になります。したがって、登記簿にも「2つの抵当権」が設定されます。

 

ペアローンを組んだ場合の債務整理が難しくなるのは、「抵当権が2つあること」が原因です。

 

「抵当権」は非常に強力な権利

抵当権は、最も重要な担保権です。

 

担保権というのは、「担保の設定された物から優先的に返済を受けられる権利」のことをいいます。

 

住宅ローンを延滞してときに、債権者が抵当権を設定した住宅を競売にかけることが典型例です。これを「抵当(担保)権の実行」といいます。

 

通常の債権に基づく強制執行(権利実行・権利実現)は、判決を得る必要があります。しかし、担保権の実行には判決は不要です。

 

簡単にまとめれば、担保権者は、「判決を得ずに」、「他の債権者に優先」して「債権を満足できる」地位にあります。非常に強力な権利です。

 

担保権の実行は、自己破産・個人再生に優先する

担保権は、判決を得ることなく実行できるので、自己破産・個人再生の手続きの影響も全く受けません。

 

住宅ローンを抱えたまま自己破産した場合で説明しましょう。

 

自己破産すると、「破産手続き開始の時点で破産者が保有する財産」が差し押さえられ現金化(換価)され、債権者に配当されます。

 

債権者への配当は、債権額による按分比例です。したがって、通常の債権者は、自己破産では債権をほとんど回収できません。

 

しかし、住宅ローン債権者のような抵当権者は、抵当権の設定された土地建物を「破産手続きとは別に」、「独自で競売にかける」ことができます。

 

売却額は、まず抵当権者への返済に充てられます。

 

このことから、破産や個人再生では、担保権のことを「別除権」と呼びます。

 

「債務整理から別に除かれて処理される権利」といえばわかりやすいでしょうか。

 

個人再生する場合の注意点

個人再生は、「住宅ローンが残ったマイホームを手放さすに」債務整理するための債務整理です。

 

しかし、ペアローンを組んでいるときには、個人再生を利用してもマイホームを残せない場合があります。

 

いずれにしても借金問題は時間との勝負です。

 

初期の段階であれば、まだ取れる対応策は選べますし、最悪の結末は避ける事ができます。

 

後回しにして取り返しがつかない状態になる前に、1日も早く専門家に相談することをおすすめします。

 

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民事再生法198条ただし書きの規定

住宅ローンを抱えた方が、返済に行き詰まったときには、「住宅ローン特則付きの個人再生」を利用することで、住宅を手放さずに借金を返済することができます。

 

住宅資金特別、条項(住宅ローン特則)付きの個人再生を利用すれば、個人再生の際に住宅ローン債権者の抵当権実行を阻止することができます。

 

しかし、住宅ローン特則を利用するためには、民事再生法が定める要件を満たしている必要があります。

 

その要件のうち、「民事再生法198条1項ただし書き」がペアローンに関係します。

 

この条文では、次の場合には、住宅ローン特則を利用できないと定められています。

 

住宅の上に民事再生法53条第1項に規定する担保権が存するとき
住宅以外の不動産にも住宅ローンの抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に民事再生法53条第1項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するとき

 

「民事再生法53条1項が規定する担保権」とは、法律で認められた担保権(「特別の先取特権」、「質権」、「抵当権」、「商事留置権」)のことをいいます。

 

つまり、個人再生を申し立てた債務者のマイホームや(その土地)に、「住宅ローンとは異なる担保権」がさらに設定されているときは、住宅ローン特則を利用できません。

 

ペアローンを組めば「2つの抵当権」が設定されるので、上記の場合に当てはまるからです。

 

なお、「収入合算」は、住宅ローン契約も設定される抵当権も1つです。

 

したがって、夫婦二人で住宅ローンを負担していても、住宅ローン特則を利用することは全く問題ありません。

 

民事再生法が想定しているのは「不動産担保ローン」(追加の抵当権設定)の場合

民事再生法198条1項ただし書きの規定は、住宅ローンのほかに「不動産担保ローン」を組んでいる場合を念頭においています。

 

たとえば、多額な借金の借り換え等におまとめローンを組む場合にも金融機関から不動産の担保を要求されることがあります。

 

この場合では、住宅ローン特則で住宅ローン債権者の抵当権実行を阻止しても、おまとめローンの債権者の抵当権実行を阻止することはできません。

 

要するに、民事再生法198条1項ただし書きは、1人の再生債務者が2つの抵当権を設定しているときを念頭においています。

 

ペアローンは、2人が1つずつの抵当権を設定しているので、厳密には状況が異なるのです。

 

しかし、この条文を最も厳格に解釈すると、ペアローンでは住宅ローン特則を利用できないということになります。

 

「運用」として例外措置が執られる場合もある

個人再生は、いわゆる「バブル経済」が崩壊した後に起きた、「住宅ローン危機」で自宅を失わずに借金を整理できる仕組みを作る必要がから創設されたものです。

 

したがって、「希望するマイホームを買いやすくするための工夫」であるペアローンを使ったときに、住宅ローン特則が利用できないことは、制度的な不具合であるといえます。

 

また、再生債務者が住宅ローンに加えて不動産担保ローンを組んでいる場合と、ペアローンの場合とでは、状況もかなり違います。

 

ペアローンのケースであれば、夫婦の片方の個人再生が成功すれば、「夫婦揃って住宅ローンの支払いを続けながら」、その他の借金を整理できることも十分に可能だからです。

 

そこで、「夫婦が共に個人再生を申し立てる」ことを条件に、ペアローンの場合にも住宅ローン特則の利用を認める運用が採用されています。
夫婦共同申立てが必要なのは、「住宅ローン債権者の抵当権実行を確実に阻止する」ことと「住宅ローン債権者の権利保護」の両面への配慮からです。

 

たとえば、夫が個人再生を申したる際には、妻にも借金があることは珍しくありません。

 

妻の借金は、「今のところ返済に行き詰まっていない」としても、夫の債務整理をきっかけに妻の借金も返済に行き詰まる可能性があります。

 

そこで、夫婦共同で個人再生を申し立てさせることが、「抵当権実行を確実に阻止するため」にも、「抵当権者の地位を保護するため」にも必要なのです。

 

言い換えれば、個人再生を申し立てさせなくても、「住宅ローン債権者に全く迷惑をかけない」といえる場合には、「単独申立て」でも住宅ローン特則の利用が認められる余地があります。

 

実際にも、東京地裁や大阪地裁の運用では、「夫婦の片方に全く借金がない」というケースでは、単独申請でも住宅ローン特則の利用が認められたケースがあります。

 

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

 

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

 

あえて繰り返しますが、借金問題は時間がたてばたつだけ状況は悪化し、好転することはありません。

 

取り返しがつかない状態になる前に、1日でも早く専門家に相談をして下さい。

 

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自己破産する場合の注意点

ペアローンの返済が残っているときに、自己破産すると自宅を保持しつづけることは、かなり難しいといえます。

 

ペアローンでは相互に連帯保証することが一般的

夫婦や親子でペアローンを組む場合には、ペアローン名義人が相互に連帯保証人となることが一般的です。

 

たとえば、夫が自己破産すれば、連帯保証人である妻に夫の住宅ローンの残額が一括請求されます。

 

もし、妻に相当の財産・収入があって、一括請求に応じることができれば、マイホームを手放さずに済むことは不可能ではありません。

 

しかし、抵当権者が納得できるだけの交渉をしなければならないので、決して簡単ではありません。

 

また、アンダーローンの物件であれば、一般債権者への配当額も負担する必要があります。

 

そもそも、それだけの財産・収入があれば、夫の自己破産を回避させた方が賢明かもしれません。

 

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

 

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

 

連帯保証してなくてもマイホームを失う可能性が高い

仮に、ペアローンの名義人が相互に連帯保証していないケースであっても、マイホームを失う可能性の方が高いでしょう。

 

相互に連帯保証していなければ、夫(妻)の自己破産によって競売にかけられるのは、夫(妻)の持分だけです。

 

住宅ローンを延滞していない妻(夫)の持分を、夫(妻)の住宅ローン債権者が競売することはできないからです。

 

しかし、このような場合でも、夫の持分を落札した買受人から「共有物分割請求」を受けると、マイホームを売却せざる得ない状況になります。

 

共有持分権者は、いつでも「共有物の分割」を求めることができます。

 

物理的に分割可能な共有物を分割する際には「売却代金を分割する」方法が採られます。

 

共有持分の競売は、いわゆる「訳あり物件」となるので、その分だけ落札価格が下がります。

 

他方で、共有物分割の際の売却は、「全部売却」となるので、正規の価格で売却できます。

 

落札価格と売却後の配分額の利ざや目当てで、「訳あり物件」を落札する業者もいます。

 

「マイホームの持分だけを競売されても買う人はいない」というわけではないのです。

 

「離婚」がからむと問題はさらに複雑に

「ペアローンでマイホームを購入したが、その後離婚して別居」というケースは、今では珍しくありません。

 

「慰謝料の代わりに家を出た夫(妻)がペアローンを支払い続ける」ケースもあるようですが注意が必要です。

 

実は、離婚をきっかけに「ペアローンの支払いが滞る」ことは珍しくないのです。

 

特に、家を出た側にとっては、「住んでいない家のための支払い」ですから、どうしても関心が希薄になります。

 

また、離婚すると生活費の負担が重くなることが一般的なので、それまで支払えていた住宅ローンの返済が苦しくなることもよくあるのです。

 

さらに、離婚すれば、お互いの関係も疎遠になるため、「競売通知がくるまで住宅ローンの延滞を知らなかった」というケースもあります。

 

離婚後のトラブルを未然に防ぐために、離婚とあわせて、住宅ローンの残ったマイホームを「任意売却で処分する」夫婦が増えています。

 

関連記事⇒自己破産をする前に離婚をして財産分与をする事は出来る?

 

ペアローンを組んでいるときの債務整理まとめ

ペアローンは、融資を受ける際のメリットが大きく、近年では人気があります。

 

他方で、ペアローンは、債務整理や離婚といった、ローンを組んだ当初に想定していないトラブルが生じると、難しい処理を迫られるリスクもあります。

 

いずれにしても、少しでも早いタイミングで問題解決に向けて動くべきなのは言うまでもありません。

 

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